ナノコンポジットは、ナノ次元の大きさの超微粒子がポリマーなどの連続相中に分散している複合系のことです。ナノ粒子として用いられる代表的なものは、クレイの一種である層状無機物のモンモリロナイトで、大きさは、厚さ1nm、長さ100nm程度である。合成マイカも用いられます。ナノコンポジットは、少量のナノ粒子の添加で、ポリマーの弾性率の向上、荷重たわみ温度の上昇、寸法安定性の向上などの基礎物性の改善が可能となります。製造法は、まず層状無機物の層間にアルキル4級アンモニウム塩などの有機化剤を挿入させ、第2段階の分散工程は、「重合法」と「ブレンド法(溶融混練法)」があります。重合法では、モノマーに変性クレイを加えて重合させます。ブレンド法(溶融混練法)では、ポリマーに変性クレイを加えて、溶融混練によりクレイの層剥離をさせて層剥離型ナノコンポジットを形成させます。重合法で製造される代表的なものは、T社が開発したナイロン6/モンモリロナイト系ナノコンポジットです。これは、ナノ粒子の添加量が数wt%程度であるため、ガスバリア性の向上は少なく、2倍程度です。ガスバリア性の大幅な向上を実現するためには、層状ナノ粒子のブレンド量をかなり多くする必要があります。層状ナノ粒子を多く樹脂に充填すると、透過ガスの透過経路が長くなり、ガスバリア層を厚くしたのと同等の効果が得られてガス透過度が低くなります。ナノコンポジット系樹脂コート・バリアフィルムの樹脂コート剤は、溶融混練法が適用されており、ベースポリマーとしては、PVA系ポリマーが適用されています。PVAは、水酸基をもっているため、ナノ粒子の高濃度充填に適しているのではないかと思われます。PVA樹脂は相対湿度依存性がありますが、結晶化度を高くすると湿度依存性が低減できます。平板状ナノ粒子を応用したナノコンポジット系コートフィルムは、種々のタイプが製品化されており、基材フィルムとしては、OPP、PET、ONYが使用されています。ナノコンポジット系コーテイング剤の樹脂としては、PVA以外にウレタン系樹脂も適用されています。