PET樹脂は繊維用樹脂として開発されました。包装材料としては、2軸延伸フィルムが最初に適用され、このPET樹脂を最初にブローボトル材料として応用したのは米国の企業です。飲料用PETボトルには、炭酸飲料用耐圧PETボトル、ホットフィル用耐熱PETボトル、耐熱圧PETボトル、アセプティック(無菌)充填用PETボトルの種類がありますが、わが国では耐熱PETボトルの使用量が特に多いと言われています。炭酸飲料用ボトルは、耐圧性が要求されるため、延伸を十分に行って分子配向させ、耐圧強度を得ています。内容品の充填は5℃前後の加圧充填であるため、炭酸飲料用PETボトルには耐熱性は要求されません。ホットフィル用耐熱PETボトルの場合、果汁飲料などの酸性飲料を加熱殺菌(パスツリゼーション)するために、内容品を85~91℃程度の温度に加熱して熱間充填(ホットフィル)されるため、ホットフィル用PETボトルには耐熱性が要求されます。飲料の中に、炭酸ガス入りの果汁欽料や乳酸飲料がありますが、このような飲料をPETボトルに充填する場合、充填自体は5℃前後の加圧充填ですが、後工程でパストライザーによる加熱殺菌が行われます。このため、PETボトルには熱と圧力に耐える特性が要求されます。殺菌は、内容品温度の最も低い場所(コールドスポット)での品温が、65℃を10~15 分間確保できる条件で熱水シャワーにより行われます。65℃はPETのガラス転移点に近く、通常の耐熱ボトルでは未延伸部や低延伸部は内圧により伸ばされ、特にボトル底部が変形します。したがって、耐熱圧PETボトルには耐熱PETボトルより程度の高い耐熱性が要求され、一方、アセプティック用PETボトルは常温充填が行われるので、耐熱化処理の必要はありません。