食品包装材の役割の一つであるラッピングを担うのがフィルムですが、当初使用されていたセロハンだけでは不十分であることから、プラスチックが表面に塗布されるようになりました。その結果、単なるセロハンでは不可能だった熱接着が可能となり、日本でも戦後のフィルム製造を飛躍させることになったのです。熱接着によって密封できるようになったため、菓子類、乾燥食品の包装に重用されました。しかし時代がさらに下ると、プラスチックを塗るだけではなく、プラスチックそのものをフィルムとして利用することが検討されるようになりました。

プラスチックは石油化学工業の産物ですから、当時も大量に生産されていたのです。最初に試みられたのは、ポリ塩化ビニル製品の製造でした。いわゆる「ビニール」という呼称で普及したのですが、透明性やシール性、印刷可能性、生産性等が上回るポリエチレンにいつしか取って代わられ、こちらは「ポリフィルム」と呼ばれました。ポリエチレンは確かに半透明で柔らかく、耐水性もあることから重宝されたのですが、強度が低く、気体も透過するという欠点がありました。

その後、ポリフィルムを凌ぐフィルムの開発も進められていますが、何の欠点もないフィルムが開発されることは期待できません。どのような製品であろうと、必ず何らかの弱点を有するものなのです。しかし幾つかのフィルムの長所を合わせたような製品を開発し続けることで、少しでも「完璧」なフィルムの製造を目指すことは大切です。実際、セロハンとポリエチレンの長所を兼ね備えたフィルムは既に開発されました。つまり、透明で光沢があり、防湿性も有するフィルムが実現したのです。

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