現代では製造、加工された食品を遠方の消費者に送り届けるため、様々な包装材が用いられています。包装材には食品を「詰める」、「包む」役割とともに、運ぶ役割があります。ですから、出来る限り軽くて嵩張らない包装材が重宝されます。また商品として製造する以上は、詰めるプロセスにおいて各包装の内容量が均一でなければならず、その一助となる包装材である必要も生じるのです。

商品として食品を包装する上で、今一つ留意しなければならないことがあります。それは「見栄え」です。消費者にとって見栄えの良い商品にするためには、食品そのものの訴求力はもちろんのこと、包装材にも工夫を施さなければなりません。包装材は単に機能性を求められるばかりでなく、デザイン、品質表示、広告といった領域の知恵が注ぎ込まれているのです。こうした工夫は、消費者心理に合致したものとなっています。消費者としては最優先事項として、食品の安全、安定を守るためのシーリングを求め、次に分量の均一性の担保を要求するのが一般的です。そして最後に、中身の訴求力を十分認識できるようなデザインを選ぼうとするのです。

食品包装には、入れ物もあれば、フィルムもあります。このフィルムについて詳しく説明することにしましょう。日本のフィルム製造の最初期は、専らセロハンが主役でした。セロハンは20世紀の初頭に米国で工業化に成功したフィルムで、無色透明、光沢、柔軟性を特徴とするものです。軽くて印刷まで出来る優れものだったこともあって、食品を包むフィルムと言えばセロハン以外に考えられない時代が長く続きました。しかしセロハンにも弱点は存在し、水分が透過したり、吸湿で伸縮してしまったりすることから、徐々にその弱点を補うフィルムの開発が進みました。その結果、米国ではニトロセルロースと呼ばれる成分を使用した防湿セロハンが発明されましたが、シーリングが十分でないという難点を克服できず、プラスチックに取って代わられました。

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